ぽよの備忘録

本の紹介など雑記帳

地域連携を進めていくために

  医療の専門化が進む中、同じ地域の医療機関が協力し、急性期治療と慢性期治療で役割分担することで地域で連携して医療を行う必要性が高まっている。地域連携を進めていくためには、個々の患者の不安を解消し、急性期病院から慢性期病院へ滑らかに移行するための十分な説明と納得が必要である。理由は、治療に応じて病院が変わることを受け入れることは患者にとって大きな不安を伴う事であることからこれを解消する必要があるからだ。

 確かに、患者の不安をすべて聞いて解決することは難しいことである。患者とご家族の理解度の程度により説明をしても納得してもらうことは病院において業務の多忙性との兼ね合いや医療従事者の心の余裕の上で成り立つものである。

 とはいえ、地域連携が進むうえで大きな課題になっているものは急性期後の治療を診療所に任せる際の「見捨てられた」という不満感、急変したときどのように対応してくれるのか不安という患者側の不安である。そして、地域連携を進めることは患者自身にとっても通院への負担が減ったり治療成績が良くなることから望ましいことである。そのために、時間と手間を割いて患者への説明と不安を聞いて解消することはひいては医療者側にとって利益となる。実習で外来の見学をさせていただいた急性期病院の皮膚科では、医師が地域の開業医へ逆紹介をすることについて患者に何度も丁寧に説明を行うことで患者が納得し、移行していく様子を学んだ。病院が変わることへの患者側の不安を傾聴し、心配がないことを伝えたり患者側の利益となることを一度でなく何度でも説明し、対話していくことで地域連携が実現されていた。

 このように、一度の話し合いにとどまらず、患者側の不安を傾聴し、解決していけるよう努めることが地域連携を進めていくために重要である。そのことは、患者側にとっても医療者側にとっても利益となることである。